インプラントは、チタンと言う金属でできています。
インプラント手術のあと、「骨がくっつくまで待ちます」「骨と結合するのに ※※ ヶ月かかります」と言われることがありますが、金属のインプラントと骨が結合するというのはどういうことでしょうか?
「結合」というと、骨とインプラントが融合しているようなイメージがありますが、インプラントそのものと骨が同化しているわけではなく、生体親和性を利用した特別な結合方式で一体化しているのです。
骨とインプラントの結合方法には、大きく分けて「オッセオインテグレーション」と「バイオインテグレーション」のふたつがあります。それぞれについて、以下で詳しくご説明します。
1592年にスウェーデンのブローネマルク博士により発見された、チタンの高い生体親和性に由来する結合方式です。「骨」と言う意味のラテン語のオス(os)と、「結合」を意味する英語のインテグレーション(integration)を組み合わせて、「オッセオインテグレーション(osseointegration)」と言います。
現在のほとんどのインプラントは、オッセオインテグレーションタイプです。チタンは生体内に入っても異物とみなされずに、生体組織と馴染みます(生体組織と馴染むことを生体親和性と言います)。
骨の中に埋入されたインプラントを生体組織の一部とみなした骨組織が、インプラントの表面にも広がって発達し、強固に結びついて一体化します。オッセオインテグレーションはインプラント埋入後数週間で始まりますが、十分に結合するまでには数ヶ月の治癒期間が必要です。またインプラントと骨組織が完全に一体化するわけではないので、顕微鏡で見ると、ナノ単位の隙間が存在しています。
画像提供歯科医院:吉祥寺セントラルクリニック
インプラントと骨組織が機械的に結合するオッセオインテグレーションに対し、インプラントの表面にハイドロキシアパタイト(HA)をコーティングして、生体的に結合させる方法をバイオインテグレーションと言います。HAインプラント、HAコーティングインプラントの結合方式です。
ハイドロキシアパタイト(HA)とはリン酸カルシウムの一種で、歯や骨を構成する成分のひとつで、唾液中のミネラルに作用して再石灰化を促進します。インプラントの表面にコーティングされたHAと骨組織の間にカルシウムが沈着することで生体的に結合するのが、バイオインテグレーションです。
隙間が残るオッセオインテグレーションが<ネジ止め>とすると、隙間なく結合するバイオインテグレーションは<接着剤+ネジ止め>のような状態です。HAインプラント(バイオインテグレーテッドインプラント)は、一般的なオッセオインテグレーテッドインプラントと比べて、
という特性を持つことから、条件の悪い骨(インプラントの隙間が広い、結合しにくい性質を持つなど)に用いられたり、1Dayインプラントなどのスピードインプラント治療に用いられています。
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