他の歯科治療と同じく、インプラントにもメリットとデメリットがあります。両方の特徴を理解し、よく検討してから治療を決定することをおすすめします。
カウンセリングの際にインプラントのメリットだけを強調して、デメリットについて触れない歯科医院は要注意です。
インプラントは人工歯の支えとなる部分が歯茎(歯肉)の中に隠れており、外から見えるのは歯冠部分の人工歯だけです。入れ歯のように固定金具が見えることがないため、人工歯が周りの天然歯に近い色で作られていれば、インプラントを入れていることに気づかれることはほとんどないようです。
歯周病などで歯茎がやせて下がってしまっていると、インプラントを入れても歯茎が下がったままになることがあります。歯茎の再生治療を行っている歯科医院もありますので、気になる方は相談してみると良いでしょう。(必ず再生できるとは限りません)
画像提供歯科医院:吉祥寺セントラルクリニック
入れ歯・ブリッジとインプラントの最大の違いは、人工歯の部分にも天然の歯と同じように「根」があるということです。
そしてその「根」は、天然の歯の根を支えているあごの骨(歯槽骨)と結合していますので、噛み心地も天然の歯にかなり近くなります。
噛み心地や噛む機能を天然の歯に近づけることができるため、インプラントは乳歯・永久歯に続く「第三の歯」とも言われています。
インプラントは、天然歯で食べられるものであればほとんど、何でも食べられると言われています。
例えば入れ歯は、肉などの弾力のあるもの、餅などの粘りがあるもの、煎餅などの硬いものが食べにくく、食事のメニューに大きな制限がかかります。
インプラントも、クルミのような極端に硬いものを噛むと破損の危険がありますが、ほとんど制限がありません。歯を失う前と変わらない食生活を送ることができ、食事のたびにストレスを感じることがありません。
インプラントの最大のデメリットとして一番にあげられるのは、健康保険が適用できないため、1本数十万円という非常に高額な治療費が必要になることです。
手術前の検査や、治療後のメインテナンスも保険適用外となります。
だからと言って、安さだけを基準として歯科医院を選ぶのも危険です。
治療費の内訳を確認してなぜその金額が必要なのかを理解し、その治療によって得られるメリットが費用に見合っているかなどをよく考えて歯科医院を選ぶようにしましょう。
金属のインプラントをあごの骨に埋めるため、外科手術が不可欠です。
手術の際に患者さんが受ける肉体的負担は「親不知を抜歯する程度」と言われていますが、麻酔を必要とする外科手術を行うことに変わりはありません。インプラントの本数が多かったり、骨造成手術を行う場合は、より負担が大きくなります。
痛みに弱い方や、歯医者さんが怖い方には、笑気麻酔などの無痛治療を実施している歯科医院が多くあります。手術が苦手な方は、カウンセリングの際に相談すると良いでしょう。
インプラントは虫歯にはなりませんが、口腔ケアを怠ると、歯周病に似たインプラント周囲炎と言う感染症のリスクが高まります。
歯周病とは違い、人工物のインプラントは、一度周囲炎に感染してしまうと一気に進行してインプラントが脱落してしまいます。天然の歯だった時よりも口腔ケアが重要になりますので、年に数回の定期的なメインテナンスが不可欠です。メインテナンスの頻度は、インプラント周囲炎のなりやすさや、日々のプラークコントロールの程度によって異なりますので、歯科医院で指示された通院周期を守るようにしましょう。