インプラントや歯周病治療では、骨や歯周組織の再生(造成)が行われることがあります。
骨造成をより安全に、効果的に促進するために、患者さんの血液に含まれる多血小板血漿(PRP)を利用する方法が注目されています。
血液中に含まれる成長因子により細胞の増殖や組織の修復が促進されるため、骨が作られるまでの期間が短縮されたり、骨造成が困難だと言われるケースでの成功率を高めることができると言われています。
PRP再生療法は皮膚のアンチエイジング療法として有名ですが、最近では歯科領域でも盛んに取り入れられています。
PRP(Platelet Rich Plasma)とは血液中の血小板を濃縮した血漿のことです。血小板に含まれている多くの成長因子(PDGF、TGF-β、VEGF、EGFなど)が細胞を活性化させる働きを利用して骨や歯茎などの組織再生を促進する再生療法です。
CGF(Concentrated Growth Factor)とは、PRP再生療法の欠点を改善するために開発された治療法です。
従来のPRP再生療法は、多血小板血漿を凝固させるためにトロンビン(ウシやヒトのタンパク質分解酵素)などの凝固剤を添加しなければならないというデメリットがありましたが、特別な回転をかけることで、添加物なしで必要な成分を凝固させることができるようになりました。
最新の遠心分離器を使用するCGF再生療法は、採血を行ってから15分程度で必要な成分を取り出すことができます。
採取した血液を遠心分離にかけると、15〜20分ほどで、成分に応じていくつかの層に分離します。
分離した血液から必要な成分を取り出し、治療に用います。
一番上の上澄み液はフィブリン液(少血小板血漿)と言い、骨再生促進や免疫に効果のある成分が含まれています。
フィブリン液は、骨造成剤(人工骨)に混ぜて骨造成部に埋入するだけでなく、切開した傷口を洗浄するのにも使用されます。傷口を洗うことでより感染リスクの軽減が期待でき、骨造成剤と混ぜることで骨造成効果を高めることができます。
フィブリンゲルは血液中に含まれるタンパク質(フィブリン等)が刺激を受け、血小板等と一緒になってゲル状に凝固したもので、多くの成長因子が含まれています。
このフィブリンゲルを骨造成したい部分に直接埋入したり、平たく潰して膜状(メンブレン)にして骨造成部分を覆ったりして用います。
画像提供歯科医院:吉祥寺セントラルクリニック